建設人材の確保・育成

職業訓練法人近畿建設技能研修協会により管理・運営されている三田建設技能研修センターでは、昭和57年の設置・開設以来、建設人材の確保・育成のため、各種講習を実施しています。「人材確保」では、単に新規確保だけではなく、確保し続けるといった視点も重要と考えています。また「人材育成」では、建設技術者・技能者の入職後の技能向上・資格取得に向け各種技能講習、専門研修及び資格取得対策講習等を行っていくこととしています。今年度の事業推進に当たっては以下の方針のもと、建設人材の確保・育成に引き続き取り組んでまいります。

 

 

令和7年度 事業推進基本方針

 

1 建設技能者の育成

(1)認定職業訓練等の実施
建設労働者の育成とその職業生活の安全及び社会的地位の向上を目的に、職業能力開発促進法に定める基準に合致し、厚生労働省や兵庫県から認定を受けた職業訓練等を確実に実施する。

(2)各種技能士の養成
とび、鉄筋等の技能取得者を養成するため、資格取得を目的とした技能士コースの開催や、検定に備えた受検前講習等の実施を通じて適切に技能士の養成を図る。

2 建設人材の確保・育成 

(1) 建設業入職者長期研修の実施
普通科高校や文系学部卒業生などの在学時に建設関連事項の学習機会のない新入社員も、本格的に現場配属となる前に建設関連の基礎が学べるよう実施してきた本研修について、引き続き土木、建築の2コースを設定して実施する。

(2) 若手技術者実務研修の実施
主として入職3年目までの技術者を対象に、実例に基づく模擬演習により技術者としての基礎的な実務能力を体系的に習得する本研修について、引き続き土木、建築の2コース設定して実施する。

(3) リカレント(学び直し)研修の実施
入職3年目以上の中堅技術者を対象として、既存のスキルを高め、新しいスキルを身に着けることを目的として実施する本研修について、引き続き人材力強化等の組織マネジメントなどを学び、現場で中核となる人材の育成を行う取り組みを実施する。

(4) 建設労働者育成支援事業(仮称:後継事業名称未定)の実施
無職・無就業者等に建設現場で必要な技能講習を実施し、建設産業への入職に繋げるため厚生労働省施策として実施されてきた「建設労働者育成支援事業」の後継事業について、引き続き受託者として建設現場で役立つ講習内容を設定し、建設産業への入職促進に繋がる取り組みを実施する。

DSC06182 DSC_4965 DSC05084

 

(5) 社会人基礎研修の実施
西日本建設業保証株式会社の業務エリアの各県建設業協会会員企業の内定者及び新規入職者を対象に、社会人としての基礎的素養を身につけ、建設産業への理解を深めることを目的として行われてきた本研修について、引き続き受託者として人材育成に繋がる取り組みを実施する。

 

3 各種団体からの要請への対応

(1)オーダーメイド研修等の実施
企業からの要請を受け、当該企業、傘下の企業等を集約して行う研修等の実施委託に対応する。受託にあたっては、事業主の意向を踏まえ、時期、内容等について事前協議を十分に行って研修内容の充実を図り、出張講習も含めて技能講習や特別教育等を実施する。

(2)行政職員への研修等の実施
兵庫県及び県下市町の土木職の職員を対象に、これまで「1級土木施工管理技術検定試験対策講習」、「工事監理研修」等の研修を受託し実施してきた。また、近年は土木職に加え、建築職の研修要請にも対応してきたところであり、引き続き、県、市町からの要請に応じて行政職員への技術研修を受託、実施していく。

(3)就業体験セミナーの実施
「兵庫県建設業育成魅力アップ協議会」のプログラムとして、工業高校生への就業体験学習を研修センター実習場で実施しており、引き続き工業高校等の卒業生の建設産業への入職のきっかけづくりになるよう、生徒の記憶に残る体験学習を実施していく。
また、これまで実施してきた大阪建設業協会、奈良県建設業協会からの委託事業である工業高校生の就業体験学習を継続して行うとともに、他府県の建設業協会からの要請にも適切に対応していく

(4)ケーブルクレーン運転業務研修会の実施
建設資材等の搬入にケーブルクレーンの設置が不可欠である砂防工事や治山工事において、ケーブルクレーン操作技能者の不足が課題となっていることから、国土交通省近畿地方整備局、兵庫県等からの要請に応じ、操作技能の習熟のための研修会開催に向けて取り組む。

 

4 建設業界の環境変化への対応

(1)建設ディレクター育成講習会の開催
建設業への時間外労働の上限規制の適用等を受け、現場技術者の働き方を改善する有効な方策として、工事書類の作成業務を本・支店等で支援する「建設ディレクター」に関心が寄せられていることから、引き続き「建設ディレクター協会」と共催で「建設ディレクター育成講習会」の開催に向けて取り組むなど「建設ディレクター」制度の普及に努める。

(2)建設分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)導入への対応
従来から「ICT土工現場見学会・講習会」をはじめ「リカレント研修」や「建設のCPDSセミナー」において、BIM/CIMモデルの作成と活用、ICT工事の設計データ作成と活用等の講習を行なってきたところである。今後も、建設分野におけるDX導入状況の把握に努め、業務の効率化に資するよう「リカレント研修」などの既存研修に反映させることを検討、実施していく。

(3)オンラインセミナーの実施に向けた取組
新型コロナ感染症拡大防止の一環として、ZOOMを使用して建設業におけるWebツール活用のセミナーを試行し、その後、Webツール活用に馴染む講習の選択や実施方法等について検討し、実施してきたところである。引き続き「社会人基礎研修」等での一部配信講習の実施や遠隔地の講師からの配信による講習実施の要請に適切に対応していく。

 

5 その他の取組

(1)建設産業担い手確保の係る各種会議等への参画
建設産業の担い手確保に係る、以下に掲げる各種の協議会などに参画するとともに、建設産業界等からの要請に応じ、研修センター職員の派遣や施設、機材等の提供などの支援を行う。

①兵庫県建設業育成魅力アップ協議会

② 兵庫県建設産業団体連合会

③ 兵庫県建設産業人材確保推進連絡協議会

④建設雇用改善推進対策会議

⑤ 全国建設関係訓練校等連絡会議

(2)施設の老朽化対策
研修センターの本館及び実習場の各施設は、施設稼働から40年以上が経過し、各所で劣化が進行しているため、各施設の維持・改善のために所用の整備を行う。また、建設産業への女性進出に対応した適切な施設整備に努める。

(3)講師の確保
民間企業の定年延長、技術者、技能者の高齢化などを背景として、各種研修の講師を依頼できる人材の減少が懸念される。関係企業等と連携を取るなど、今後の講師人材の確保に努める。

トップ